【5月15日 AFP】英国のヘンリー・ベリンガム(Henry Bellingham)外務政務次官は13日、記録的な財政赤字を削減するために、政府が所蔵する高級ワインを売却すると発表した。

 英政府は、シャトー・ラトゥール(Chateau Latour)、シャトー・ラフィット(Chateau Lafite)、シャトー・マルゴー(Chateau Margaux)、シャトー・ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)などのビンテージ物を含む総額86万4000ポンド(約1億1300万円)相当のワインを所蔵している。

 保守党・自由民主党の連立政権は、野党・労働党のトム・ワトソン(Tom Watson)議員が、政府所蔵の1978年のシャトー・ペトリュス(Chateau Petrusが1本2500ポンド(約32万7000円)の価格がつくと指摘したことを受け、緊縮政策の一環として所蔵ワインの見直し作業を行っていた。

 ベリンガム政務次官は、「貯蔵室を解体することも真剣に考えたが、貯蔵室を維持してワイン売却を通じて運用すれば納税者のお金を節約できることを、あらゆる証拠が示していた」と説明した。

 約1000ポンド(約13万円)の価値がある1955年のシャトー・ラトゥールの横には、「とても特別な機会に飲むように。見事だ。少ないストックを慌てて減らす必要はない。『見事なクラレット(フランスの赤ワイン)を体現』。フレッシュで素晴らしい」などと書かれたノート片が置かれていた。

 また、120ポンド(約1万6000円)以上の価値がある1975年のシャトー・パルメ(Chateau Palmer)は、「実に古風なスタイルのクラレット。リッチでエクセレントで厳粛さも多少備わっている」と表現されていた。1961年のシャトー・マルゴーには、英歴代首相の誰かによる「シルキー」との説明が書かれていた。

 ワトソン議員が一年近く政府高官との粘り合いをした末にようやく手に入れた所蔵品リストには、1982年のクリュッグ(Krug)や1990年のルイ・ロデレール・ブリュット(Louis Roederer Brut)など多数のシャンパンも載っているという。(c)AFP